したがって、現在50歳以下のサラリーマンは「国から見捨てられる」という危機感を持ち、会社から給料をもらっているうちに定年後の備えをしておかねばならない。できれば30歳、遅くとも40歳を過ぎたら、自分で「稼ぐ力」=「キャッシュを作り出す力」を磨くべきである。
目標金額は、とりあえず前述の「毎月15万円」に設定すればよいと思う。住宅ローンの返済が終わっていれば、月15万円あったら贅沢をしない限り、それなりに生活していけるだろうし、そのくらいの金額なら稼ぐこともさほど難しくないと思われるからだ。
会社に勤めている間というのは“天国”である。新しいことをやって失敗しても、出世が遅くなったり降格されたりはするかもしれないが、クビにはならない。だから、いろいろなことに積極的にチャレンジして、会社のためではなく自分自身のために、定年退職後の売り物になるスキルと経験を(なるべく会社の舞台を生かしながら)磨けばよいのである。
これからとくに有望なのは、サイバーマーケティングの分野である。たとえば「マルケト(Marketo)」をはじめとするマーケティングオートメーションのパッケージソフト。これは何かというと、サイバー空間にいる多種多様な人々に自社が提供している商品やサービスに興味を持ってもらい、サイトに来てくれた人に対してメールや説明会や電話で営業活動を行い、購入や利用につなげるためのツールである。
たとえば、渋谷や新宿などに店を開いたらコストが何千万円もかかるし、思ったように商品が売れなければ大きな損失を出してしまう。しかし、サイバー空間でお客さんを集めてきて商品を売ることができれば、実際に店を開くよりも格段に安いコストと低いリスクでビジネスを展開することができるのだ。
このマーケティングオートメーションのソフトを使いこなして成果を出すことができれば、引く手あまたになるだろう。なぜなら日本企業、とくにIT化が遅れている中小企業には、そういうソフトを活用しているところが非常に少ないからである。