ゴルバチョフとの会談の直後、サッチャーはこう断言した。
「私はまだソ連という国は信用できないが、あなたなら信用する」
当時、すでにサッチャーと完全な信頼関係を築いていたレーガンが、彼女のアドバイスに従い、ゴルバチョフと何度も会談し、真剣に話し合ったことは言うまでも無い。
悲しいかな、わが国のリーダーはそのような人物を見抜く「目」を持ち合わせてはいない。安倍が日米同盟を過信し、首脳会談でトランプと見つめ合う気色悪いシーンは世界から失笑された。結局、“仲良し”を演出したこと以外、何も収穫はなかった。サッチャーのような決断力を持たないトランプにすがる姿は悲しくもある。
※SAPIO2017年11・12月号