「彼女がトイレに行っている間にディレクターさんから、『彼女にタクシーで聞きましたけど、別れたのは“プロポーズをしてくれなかったから”が理由のようです。今、もう一度告白してみませんか』と言われて、思い切って、カメラの前でプロポーズを前提にした復縁を申し入れたら、『はい』と言ってもらえた。情けない話ですが、テレ東さまさまです」(谷さん)
結婚式にはキューピッドとして、そのディレクターを招待。新郎新婦の両親までが、「テレ東さんのおかげや」と感謝しきりだったという。
◆「奇跡」はいかにして生まれるのか
このような“奇跡”を次々と起こす番組はどのように作られているのか。同番組のプロデューサーである高橋弘樹さんに、女性セブンが谷さんを搜し出し、取材したことを伝えると、驚きの声を上げた。
「えっ、それは聞いてなかった! すごいですね」
高橋さんにとっても、谷さん夫婦の復縁は、今までの放送で最も印象に残るエピソードだった。
「谷さん夫婦も、ちょうど何かを語りたいタイミングだったのでしょう。この番組は“家”を通して、住人の人生をのぞき見るもの。タレントさんは、決してイメージを崩さないけど、一般人は“素”の姿を見せてくれる」(高橋さん)
「深夜の自宅」というプライベートにズカズカ踏み込む異色の番組は高橋さんの個人的な体験から生まれた。
「訳あって夜中に他人の家に行った際に、人妻のすっぴんを見て、その色気に衝撃を受けたんです。その時、深夜に他人のプライベート空間に行く番組は、この世に存在しないと気づき、『あなたの奥さん見せてもらえませんか』という艶めかしい番組名で企画を出しました(笑い)。そこから現在の形にたどり着いた」(高橋さん)
ヤラセ疑惑が生まれるほどの面白い素人を見つけるには、人知れぬ努力がある。
「取材は基本的に2人1組で行います。平日に5~10班、週末には20班ほど取材に出て、1日30人以上に声をかけますが、いきなりカメラを突きつけられて、自宅の撮影を許可してくれる人はほんの一握りです」(高橋さん)
つまり、月に1万人くらいに声をかけて、放送までたどり着くのは、たった15組程度。
「せっかく自宅に行けたとしても、奥さんに怒られたり、『撮影時は酔ってたから放送しないで』とお蔵入りになることも多い」(高橋さん)
こんな苦労を乗り越えているからこそ、数々の名場面が生まれているかもしれない。同番組が好調な理由を高橋さんはこう推し量る。
「誰もが、みんな一生懸命生きていて、つまらない人生なんてない。普段すごくイヤな人でも、家のなかでは、赤ん坊をお風呂に入れていることがわかったりしたら、ちょっとだけ好きになれるでしょう。一般人が頑張って生きている姿が視聴者に受けているんじゃないかな」
※女性セブン2017年12月14日号