「大晦日に新たな番組を投入しない」、2つ目の理由は、良い悪い両面での割り切り。
たとえばフジテレビは、2010年に『奇跡体験!アンビリバボー大晦日スペシャル』、2011年に『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦』、2012年に『世界の鉄人ドリームマッチ!アイアンシェフ 生対決スペシャル』、2013年に『祝!東京決定スペシャル 東京五輪夢と奇跡の物語』、2014年に『フェイス・オブ・2014世界が選ぶ今年の顔!』と『ワンピース エピソードオブチョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜』というようにジャンルの異なる番組を投入しましたが、いずれも低視聴率に終わりました。
テレビ朝日も2010年と2011年に『そうだったのか!池上彰の学べるニュース 年またぎスペシャル』、2012年に『2012年テレビ朝日系列瞬間最高視聴率BEST100大発表スペシャル』、2013年に『今年スゴかった人 全員集合テレビ2013』を放送したものの思うような結果が得られず、現在の『クイズサバイバー』に落ち着きました。
つまり、「何をやってもうまくいかない」「『紅白』と『ガキ使』に勝てない」ため、「低視聴率覚悟で、現在の番組を放送し続けている」ということ。だから前述したように、『KYOKUGEN』はスポーツ全般、『RIZIN』は格闘技、『クイズサバイバー』はクイズという特定のジャンルを決めて視聴習慣の定着を狙っているのです。
◆年越しそばを食べながら『孤独のグルメ』を
その意味で今年最大の注目を集めているのは、テレビ東京の新企画『孤独のグルメ大晦日スペシャル ~瀬戸内出張編~』(テレビ東京系、22時~)。大晦日にドラマが放送されること、ジャンルがグルメであること、原作者・久住昌之さんの生中継トークコーナーなど、異例尽くしの内容が予定されています。
そもそも「食べ納め」というコンセプトは大晦日の夜にピッタリであり、いかにもテレビ東京らしいアイディア。「年越しそばを食べながら見よう」という人がどれくらいいるのか楽しみです。
超定番の『紅白歌合戦』『ガキ使』『にっぽんの歌』を見るもよし、新定番の『KYOKUGEN』『RIZIN』『クイズサバイバー』を見るもよし、斬新な新企画の『孤独のグルメ』を見るもよし。いずれもマンネリを招かないために、新たな演出や旬のゲストを用意しているだけに、ザッピングしながら楽しむのが王道なのかもしれません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。