たとえば、オアシズの光浦靖子や大久保佳代子、いとうあさこ、そして森三中、アジアンの隅田美保など、アラフィフ、アラフォーの女芸人はナチュラルメイクが主流である。
柳原可奈子が出てきた頃、「デブなのにネイルしている」「デブなのにメイクしている」と本気で驚いていたのは森三中の村上知子だ。
実際、柳原は、メイクにもっとも時間をかける女芸人として有名で、髪は局メイクさんに任せるものの、メイクは自前で、1時間は鏡に向かっているだろうか。
あまり知られていないが、女性タレントの大半には専属のメイクさんが付いていて、メイクはメイク室ではなく、それぞれの楽屋で行われている。
が、女芸人はセルフメイクゆえ、バラエティー番組の収録時、局のメイク室は彼女たちで溢れかえる。
柳原のような正統派メイクも、ブルゾンや平野のような扮装に近いメイクを施すのも自分。当然、メイクのテクニックはどんどん上達していき、見ていて特に驚くのは、彼女たちの眉メイクが上手いことだ。
もともと、眉を描くのが当然という時代に“お年頃”を迎えた彼女たち。パウダーやペンシルを使って、美しい眉を自分で描いている。たとえば渡辺直美の眉を見ていただきたい。カーブといい、長さといい、色といい、すべてが完璧なのである。
モードを取り入れ、多色使いの華やかなファッションに合うのは、やはり色をたくさん使った“女芸人メイク”。
繰り返しになるが彼女たちはセルフメイクなので、プロのメイクアップアーティストのテクニックとは異なり、真似もしやすい。その上、使っている化粧品もドラッグストアで売っているようなプチプラコスメばかりなので、そこも若い女性たちには、すぐに取り入れやすい理由だろう。
「なりたい顔」は、この3年、石原さとみだというし、すべての年代の人が「もっとも美人」と認めるのは北川景子であることは確かだ。
が、美形というワケではなく、特徴的な顔立ちや、決していいとは言えないスタイルなのに「頑張っておしゃれしている」女芸人に好感が集まっているのは事実なのである。
背景には、昔と違って、「イタイ」と思われない、女芸人たちの地位向上もある。
かつて、男の芸人にドラマや映画出演のオファーが殺到したようなブームが女芸人にも来ているし、だいたひかる、鳥居みゆきのように“笑い”以外のジャンルで頭角を現している女芸人もいる。
ファッション、メイクときて、次は女芸人の生き方が真似されるようになるのかも。時代は変わりつつある。