「名古屋が“行きたくない街No.1”に選ばれたときのアンケートで、市民からの“当然だ”“仕方がない”という声が8割ありました。また、自分の街を他人におすすめしますかというアンケートでも“おすすめしない”が圧倒的。“名古屋なんて…”と思っている市民がこんなに多いのかとショックを受けました」
そこで名古屋市民の意識を改革すべく立ち上がったのが「ナゴヤ魅力向上室」である。
「市民が名古屋を好きになり、“名古屋に来てね”と心から言えるようにならない限り、役所が何をしても変わらない。名古屋市民はプライドが高いのに自慢が下手。大阪は“たこ焼きなんて別においしくないやん”と言いながらも、観光客には“おいしいから食べてって”と強くアピールできるのに、名古屋はどんなにいいと思っていても“いや、つまらないものです”と言ってしまう。そのメンタルを変えようとスタートしました」
その典型例が東京で人気となっている名古屋生まれの『コメダ珈琲店』や台湾ラーメンの有名店『味仙』だ。自分たちが日常的に食べているものが、東京では行列ができているということを聞いて、初めて目を向ける。
魅力向上室では、そんな名古屋人の気質を逆手にとり、メディアを使ってアンケート結果を拡散したり、市民を巻き込んだイベントを展開したりして、あえて負の要素を強調した市民への“自虐大作戦”を展開した。
「“なぜ私たちは、友人・知人に名古屋に訪れることをすすめられないのか”をテーマに『ナゴヤ・プロモーション会議』を創設したり、名古屋工業大学が開発したネット対話システムを使い、市民230万人による大討論会を行ったりして、“無名より悪名が勝る”を体現しました」(田頭さん)
そうした活動によって、少しずつ市民の心に変化が生まれたのだという。「まだまだ名古屋には伸びしろがある」と田所さんは語気を強める。
「入場料が高すぎると話題になったレゴランドは、今年ホテルと水族館が併設され、さらなる集客が期待できる。3月には名古屋城の入口には食べ歩きができる“金シャチ横丁”も誕生します」
今後に向けて期待は高まるばかりだ。
※女性セブン2018年3月8日号