芸能

木村拓哉の『BG』がコントに見えてしまったのはなぜか

視聴率は好調、誤差なしだった⁉︎(番組公式HPより)

 ドラマファンにとってこの冬は見所の多いクールだったに違いない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が総括した。

 * * *
 今期のドラマも次々に幕を閉じました。前評判に対して、放送された後のギャップはいかに? 事前の注目度と視聴者の反応に、差があったのか無かったのか? 下馬評の高かった3つのドラマを振り返ると……。

●『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)

 SMAP解散のタイミングもあり、まず視線が集中したのが木村拓哉主演のドラマ『BG~身辺警護人~』。キムタクが演じたのは身辺警護人=ボディガードの島崎章。民間の日ノ出警備保障に所属しチームメンバーと共にさまざまな人の警護を担当、危機一髪を乗り越えていく、という一話完結型に近い物語でした。

 キムタクは40半ばの中年にして軽やかな身のこなし、アクションシーンもあり。一方、冒頭から失敗エピソードも盛り込まれるなど人間臭さを演出。息子に受け入れてもらえない、ちょいダメ親父像も見え隠れしましたが、しかし全体としてやはり「キムタク」。想定内のヒーローに留まり新鮮味に欠けた。

 ふと、このドラマが「コント」に見えてしまったという人は、はたして私だけでしょうか? いったいなぜ、コントに見えてしまったのか、その理由を考えてみるに……。

 例えば、元自衛官という同僚BGの高梨雅也(斎藤工)は、髪の毛がウエーブしている。襟足を伸ばしている。ヤサ男役ならばいい。けれど、「警護人」ならやはり短髪が基本ではないでしょうか? 趣味やファッション性を抑え、できるだけ個性や気配を「消す」のが警護の仕事のはず。とっくみあいになった時、長髪は敵から掴まれるリスクあり、とケンカが得意な人も指摘していた。

 同じく日ノ出警備保障の菅沼まゆ(菜々緒)も、化粧濃すぎ。つけまつげが長くて唇が真っ赤で目立ちすぎ。警護に徹するためにはできるだけ悪目立ちする装いを避けるのがプロ。

 つまり、細部のリアリティに欠けていた。地に足がついていなかった。詰めが甘いがため小芝居っぽい感じが漂っていたのかもしれません。もはやキムタク以前の問題かも。

 そもそも「コント(conte)」とは仏語で「短い物語・童話・寸劇」が語源。短い時間に完結する、笑いを目的とする寸劇です。簡単な衣装や小道具を使って、一瞬だけ違う空間を出現させるのもコントの役割。劇の間に挿入したりし転換を進めていく。だから、コントは場面場面を楽しめばいい。

 その意味でも、コント的だったかも。キムタクの復帰ぶりを「チラ見」「ながら見」するのには的確だったのかもしれません。

関連記事

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン