片山:しかし安倍政権は謝罪した上、慰安婦支援財団に10億円拠出した。
佐藤:しかも10億は税金です。これは日本の国家責任と補償を事実上認めたことを意味する。リベラルの自社さ連立政権の村山内閣でも、アジア女性基金が集めた募金を元慰安婦に届ける形をとりましたからね。
片山:愛国者や保守派は激怒してしかるべきです。それなのに「安倍政権は慰安婦問題を前進させている」と語る自称保守もいる。平成の終わりになって、何が保守でリベラルなのか分からなくなってしまった。
佐藤:外交が評価されることの多い安倍首相ですが、私には失点の方が目に付きます。翌2016年で印象的だったのが、伊勢志摩サミット(注2)で見せたドイツのメルケルの苦い表情です。彼女は牧師の娘だから伊勢神宮に足を踏み入れるのに抵抗があったんでしょう。
【注2/2016年5月に三重県志摩市で開催された第42回先進国首脳会議。議題は世界経済の安定化や北朝鮮の脅威など。議長国の日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、カナダの7か国の首脳のほか、EUの代表者が出席した】