活躍した4番の藤原恭大
「メンバーから外された悔しさがあったので、最初は本気で記録員をやれなかったんです。でも、近畿大会、神宮大会を経験し、裏方としてデータを集めたり、試合中も相手を研究したりすることで、勝利に貢献できたという気持ちもある。今は割り切って、記録員をやらせてもらっています」
もちろん、メンバー入りを諦めたわけではない。
「自分は安定感がウリですが、一つ上のチームでメンバーに入っていた根尾たちに比べ経験値で圧倒的に劣る。その差は簡単には埋まらない。そこがもどかしい」
記録員として帯同する中で見えてくるものもある。プレー以外の野球の目を培うことも、甲子園通算49勝の西谷の指導の一環だろう。
「根尾と同じ部屋だった時、とにかく部屋にいなくて。夜遅くまで雨天練習場で打ち込んで、部屋に帰ってからも、体幹トレーニングやストレッチに時間を費やしている。チームで一番練習する選手で、こういう人間がプロに行くのかな、と」
◆「お前には負けへん」
センバツでベンチ入りできるのは18人。その枠から漏れれば、代表歴を持つ選手もアルプス席で仲間の戦いを見守ることとなる。今回のメンバーには横川と森本昂佑というふたりのサウスポーが入っていたが、その座を争ったもう一人の左腕が道端晃大だった。