高齢化を迎え増えているのが、声帯の委縮だ。普段からあまり口をきかないと声帯を引っ張る筋肉が衰え、声帯が委縮してしわ(医学的には溝という)ができて声が出しにくくなったり、枯れたりする。
「声枯れの診察では、まず喉頭がんなど命に関わる病気がないかを調べます。問診で年齢、性別、職業、生活習慣、食生活、病歴などをチェックすることで声枯れの原因を類推します。例えば定年後の60代男性なら、声帯の委縮も疑います。委縮が確認された場合は日ごろから声を使うように指導し、さらに声帯に直接薬剤を注射してしわを伸ばす治療を行なうこともあります」(渡邊センター長)
問診終了後は血液検査、鼻からのファイバースコープなど機器による画像検査を行なう。喉頭がんを含めた、がんや大動脈瘤などがないかを確認し、リスクを排除する。その上で総合的な判断を下し、原因を特定して年齢や合併症などを考慮してから、治療計画を立てる。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年5月4・11日号