東京通信大学教授、早稲田大学名誉教授の重村智計氏


 制裁の効果は着実に出ている。黙っていれば北朝鮮のほうがアクションを起こすだろう。来る米朝会談は「核放棄」「在韓米軍撤退」「米朝平和協定締結」「制裁解除」という4つのカードをめぐる困難なやり取りになり、決裂も十分予想される。すると北朝鮮は、「助けてくれ」と日本に泣きついてくるはずだ。

「日本置き去り」論に警戒すべきもう一つの理由は、この機に便乗してカネ儲けを企む工作員(エージェント)の存在である。彼らは、“外交素人”の政治家に「私が平壌とつなぎます」「首相の訪朝を実現します」と巧みに取り入り、カネをせしめようとする。

 日本の政治家は、与野党が裏で握って法案を通す“国会対策政治”に慣れ切っている。外交においても〝国対政治〟の感覚が抜けず、北系団体や運動組織にカネをバラまけば日朝交渉がうまくいくと考えてしまう。だから「北とつなぎます」と寄ってくるエージェントにコロリと騙される。

 実際に民主党の野田政権時代、「拉致被害者を帰国させる」と売り込むエージェントが現れて、日本政府が訪朝のためのチャーター機を羽田空港に準備したことがある。最終的に北朝鮮サイドの合意が得られず実現しなかったが、この時、官房機密費から億単位のカネがエージェントに流れたと言われる。

 北朝鮮の件なら日本政府はいくらでもカネを積むという話はソウルの脱北者の間でも有名だ。

 しかし、そもそも日本に金正恩と直接つながる個人や組織が存在すれば、とっくに機能しているはずだ。功名心や野心を抱える政治家ほど、この手の「詐欺師」にひっかかるので手に負えない。

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