徳井が見守る代わりに、DT同志はお互いを厳しく牽制し合う。つまり「俺の方がお前よりはマシだ!」と。その光景を見ていて、なんだか涙腺が緩んできた。
類は友を呼ぶ。
10年前、無事ヤラハタ(童貞のまま二十歳を迎えること)に至った僕も夜な夜なファミレスでこんな不毛な議論を繰り返していた。地元でも数少なくなったヤラハタが集まり「俺の方が女性を知っている」と声高々に叫ぶ。ヒーローが集まったアベンジャーズは地球を救うが、DTアベンジャーズは自らも救えない連中だった。
DT会議は長時間に渡って行われる、ノドの油がなくなるほどに飲む烏龍茶。そして、延々と繰り返される「初めてのデートに行くならどこが正解か?」と云った問答。
「遊園地!」
「ブッブー。乗り物の待ち時間が長くて会話が持たない可能性があるので、遊園地は初めてのデートには向きません」
「え!? けど、お前、デートもしたことないじゃん。俺もだけど……」
回答者もDTならば、出題者もDTなわけである。漆黒の闇だった空が灰色となり、太陽が照り出す頃合いになっても答えは出ない。ありあまる体力と性欲、男なのに耳年増、欠如している知性と勇気。男子の誰もが経験したことがあるだろう深夜ファミレスでの、あの瞬間、あの熱量を『DTテレビ』は蘇らせる。
今まで配信された全26回を見たが『DTテレビ』はブレることがない。1時間番組、混じりっけのないDT要素のみで構成。番組のすべての事象がDTに絡み、むせっかえすほどの高純度な青春で満ちている。「なんか最近、大人になっちゃったなぁ」なんて人にオススメしたい。感情が揺さぶられるから。また、現役DTは絶対に見るべき教養番組だ。
余談だが、のちにDTヒロムはスタジオで吉野七宝実に告白。当たり前のようにフラれ、号泣するのだった。DT達はアプローチを仕掛けた吉野を責めるが、ヒロムは「(彼女は)悪くない」と孤軍奮闘。DTは優しい、ゆえに卒業を逃し続けるんだよなぁ……。