今まで50歳を過ぎてから起業に成功した人は、三菱電機とリコーに勤めて49歳11か月で独立し、半導体メーカーのメガチップスを創業して上場した進藤晶弘さんぐらいしか前例がなかった。しかし、最近はそういうスタイルの人がけっこう出てきている。
たとえば、今年傘寿(80歳)を迎えた廣瀬光雄さんである。廣瀬さんは大日本印刷アメリカ法人の社長、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人代表取締役社長を務めて定年退職したが、日本のゴルフ場が次々につぶれていく惨状を見て「悠々自適・ゴルフ三昧」どころではないことを知ると一念発起し、学生時代からの友人であるジャック・ニクラウスの「ゴルフ場は束ねれば束ねるほど儲かる」というアドバイスを基にPGM(パシフィック・ゴルフ・マネージメント)を創業した。そして倒産したゴルフ場を次々に買収し、いきなり東証一部上場を果たしたのである。さらに医療情報ポータルサイトを運営するケアネット、企業コンサルティング会社マベリックジャパンの2社を設立し、ケアネットも東証マザーズに上場している。
日本人は年齢についてメンタルブロックがあり、中高年になると新しい仕事にチャレンジしない傾向が極めて強い。
しかし、「もう○歳だから」は禁句である。
いま40代・50代の人たちは、2040年に老後があると思ってはいけない。起業家になって60代・70代で新しい事業を次から次にやりまくっている自分をイメージし、そういう方向にマインドセットしていくべきなのだ。
※SAPIO2018年5・6月号