◆病人ということを忘れさせられる

 患者の体質にもがんの状態にも左右され、がん治療に正解はない。

《抗がん剤治療で苦しむ患者さんを何人も見ました。でも、私の治療法だと、生活の質が全く落ちなかった。だから、とても満足しています》

 5月8日の朝日新聞朝刊で、樹木はUMSでの治療をそう振り返った。前述のように、樹木の体に初めてがんが見つかったのは2004年。2008年ごろには、腸や副腎、脊髄にがんが転移していることが判明し、治療を施した部位は30か所にのぼるという。2013年3月、日本アカデミー賞の授賞式での「全身がん宣言」は世間を驚かせた。「死ぬ死ぬ詐欺」と自嘲する一方、それから5年以上経っても、公衆の面前に登場する樹木は元気な様子だ。

「病人ということを忘れさせられるほどで、最近はむしろ“人生の終わりが見えて、いい作品を残したいという気持ちが高まってきた”と話すほどです。現場では、“撮り漏れのシーンがあるわよ”と、監督やスタッフより早く気づくこともあるそうです。

 ただ、がん細胞が全身に散らばっているのは事実で、がんが大きくなったのがわかったら、その都度鹿児島のクリニックに行って治療しているそうです」(映画関係者)

 がんが見つかってから10年以上経ち、体内からがんを駆逐したわけでもない。にもかかわらず、樹木が生き続ける理由はなんなのだろう。

「さまざまな治療法が確立されていますが、合う合わないはあります。樹木さんにとっては、UMSでの治療法との相性が合ったことが1つ。そして、がんを受け入れて、がんとともに生きているという自覚をもつことで、早く他のがんが見つかり結果的に長生きできているのではないでしょうか」(前出・田辺氏)

 がんに克つ──それが当たり前になる時代が1日も早くくることを願ってやまない。

※女性セブン2018年5月31日号

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