メーカー各社は今回の共通化の動きについて「コメントする立場にない」とした。その一方で、メーカーの製造したATMに搭載する「ソフト」を開発する企業は、前向きな姿勢を示している。

 富士通や日立、OKIの開発したハードに「@ATM」というソフトを入れて、三菱UFJと三井住友の2行に納入する「日本ATM」社だ。同社では、ATMを監視して不具合の連絡がコールセンターに入ると、修理や保守の要員を派遣したり、現金の補充などの業務も行なっている。

「当社ではATMにカードを入れるとカードを発行した金融機関のATMになる、いわば1台が複数の銀行のATMになるソフトを2004年に開発しましたが、銀行ごとの通帳の違いで断念してきた経緯があります」(同社広報担当者)

 既存のATMでは、たとえば三菱UFJの端末に三井住友のカードを入れても、三菱UFJのシステムの画面が開き、時間外手数料の額などが表示される。それが、カードを入れた途端に三井住友のATMに表示される画面が出てくる──そんなシステムが10年以上前に開発されていたのだ。

“通帳の違いで断念”という説明は、“通帳がなくなれば、ATM共通化はやりやすくなる”というふうにも聞こえる。ATMから通帳の差し込み口がなくなる──「共通化」によってそんな未来がやってくる可能性もあるのかもしれない。

「今後共通化が進めば、共同ATMのシステム活用の余地は広がると期待しています」(同前)

 逆にいえば、システムは存在したのに、これまで活用されてこなかったともいえる。それが、ここにきて大きく動こうとしている。やはり、銀行のビジネスモデルそのものが大変革期を迎えていることと無縁ではなさそうだ。

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