三菱UFJFGの平野信行社長も決算発表の場で「顧客ニーズの多様化や構造変化を的確に捉え、最適な店舗網を構築していく」と店舗改革に言及した。

 三井住友FGも店舗改革などで2020年度までに500億円の経費削減を目標に定め、みずほFGも全500店舗から100店舗減少させる方針だ。

 店舗やATMは銀行の「顔」ではなくなっていく流れがある。前出・森岡氏は指摘する。

「メガバンクの支店は駅前の一等地で1階にATMや振り込みなどの窓口があり、2階に融資や資産運用の相談窓口というのが典型的でした。しかし、今後はATM共通化で台数を減らして2階に置いて、空いた1階部分をテナントとして貸し出すことも考えられます。

 銀行法では他業禁止規制があるため、これまで空き店舗の外部賃貸は大幅に制限されてきましたが、昨年、監督指針の改正で規制が緩和され、一部は賃貸に回すこともできるようになった。より柔軟な“有効活用”が可能になる。

 営業時間の弾力化も進められていますが、さすがに月水金だけ開店するといったやり方は現実的ではない。店舗そのものを減らし、オンライン取引に移行していくような多チャンネル化が進められていくでしょう。共通化でATMの台数を減らすことは、店舗整理の“準備”とみることもできるわけです」

 昨秋には、今後10年間で3行合わせて3万3000人分の「業務量削減」が行なわれるとして話題になった銀行業界。かつて13行あった都市銀行は相次ぐ合併・統廃合によって大きく3つにまとまり、さらにATMは1つになろうとしている。ATM共通化は、この先の銀行の姿を大きく変える第一歩となるのは間違いないようだ。

※週刊ポスト2018年6月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン