個性ひしめく環境には、他学部とはまるで違う価値観がある。別のOBは言う。
「実は日芸出身といわれる人の中には中退者も多い。付属高校の内部試験で日芸には落ちたものの、一般試験で入学した──というように愛校心が強い学生が多いのに、“日芸は卒業するより中退のほうがステイタスが上”ともいわれます」
爆笑問題の太田光と田中裕二、宮藤官九郎、松崎しげる、大鶴義丹といった面々も、実は中退組だ。爆笑問題の2人は、「第2回日芸賞」(2007年)の授賞式でこう話していた。
「日芸に3年いて2単位しか取れませんでしたが、大学生活はものすごく楽しかった」(太田)
「日芸というのは本当に器の大きな大学だと思います。1年しかいなかったけれど僕にとってはとても思い入れのある母校です」(田中)
中退した学生にも寛容なのは事実のようで、日芸のホームページの“卒業生の活躍”コーナーには、彼らの名前が堂々と並んでいる。この異端の学部にだけ、“結束力”があるように見えた。
※週刊ポスト2018年6月8日号