「当院でも、バドミントンなどの運動のほか、ゲーム依存をさまざまな角度から話し合うグループディスカッションを行っています。こうした機会を増やすことで、依存症に立ち向かおうと前向きになる人は多いです。
入院治療も受け入れています。入院中は、ネット、ゲーム類は持ち込み禁止の環境で“スマホ絶ち”し、運動や規則正しい生活をし、集団療法などを受けてもらいます。依存症に特効薬はありません。スマホとかかわる時間を減らし、同じ病を抱える集団の中で自分を見つめ、規則正しい生活をして依存から脱する日常づくりを行うことが大切なのです」
千葉県在住の主婦A子さん(44才)は、結婚以来10年間、ゲーム依存症だった。毎日15~20時間もゲームに熱中し、視力が悪化するとゲームを続けるためにレーシック手術を受けたほどだ。
買い物はすべてネットスーパーで済ませ、家事もほとんどしなかったが、夫も同じくゲーム依存症で、子供もいなかったため、離婚問題には発展しなかったという。そんな“廃人夫婦”に転機が訪れたのは1年前。A子さんが話す。
「妹が、私たちの生活ぶりを見ていよいよまずいと思ったのか、病院へ行くよう強く促してきたんです。あまりにうるさく言うので、1度だけ行ったんです。病院に行くと、先生にはっきりと『ゲーム依存症です』と告げられました。わかってはいましたがやはりショックでした。しかも治療するには規則正しい生活と運動と言われて…。それができたら苦労しません。
どうすればいいかと相談すると、先生が犬を飼ってはどうかと提案してくれたんです。最初は面倒だなと思いましたが、いざワンちゃんが家に来ると、かわいくて仕方がない。子供ができなかったこともあって、夫も溺愛するようになりました。
散歩や餌の世話をしているうちに、次第に家を掃除するようになり、外出も増えていきました。今ではゲームをすることもほとんどなくなり、この子のおかげで、家の中が明るくなったように思います。新しい家族ができて、家族のために生きることの喜びを思い出しました。毎日が充実しています」
ふと画面の外に目を向ければ、光は至るところにある。
※女性セブン2018年6月7日号