藤田まこと主演の時代劇『剣客商売』(フジテレビ系)も同年の第四シリーズから出演。女剣士・佐々木三冬を演じた。
「女剣士で立ち回りの役もありますから嬉しくて血が騒いでくるんですよね。
さらに撮影も京都で、本格的な時代劇の時代を生きたスタッフさんたちや藤田まことさんとご一緒できる。久しぶりのテレビシリーズですからみんな気合いが入りまくった現場で、その熱が楽しかったです。特に藤田さんからはいろいろなことを教わり、今でも私の財産です。
たとえば、『刀を本身の重さで持っていない』と教えて頂きました。それで本身を持ってきてくださって『刀ってこんなに重いんだ。これを女性がやるということを考えてごらん。君は軽くヒュッと持ってるんだよ』って。他の方にも『とにかく小道具にこだわりなさい。こんなのは昔はなかったよ。そういうディテールのこだわりからやっていかないと時代劇はダメなんだよ』と、藤田さんはさりげなく教えてくださるんです。その人間性に、『素敵だな』といつも思っていました。
みんな藤田さんのことが好きで、みんな藤田さんのためにやる、そんな吸引力のある方でした」
●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。
■撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2018年6月8日号