芸能

寺島しのぶ もがいても生まれもった運命には逆らえない

寺島しのぶが主演作について語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、出演映画『のみとり侍』が公開中の女優・寺島しのぶが、役者としての評価を固めた主演映画『赤目四十八瀧心中未遂』と『ヴァイブレータ』について語った言葉をお届けする。

 * * *
 寺島しのぶは二〇〇三年、映画『赤目四十八瀧心中未遂』と『ヴァイブレータ』に続けて主演、役者としての評価を高めていく。

「『赤目』はとにかく小説に感動したんです。それで作者の車谷長吉さんに直接『これを映画にするなら私しかありえません』って手紙を書きました。後に荒戸源次郎監督が映画化権を取った時に車谷さんがその手紙を持っていてくださって、それで結びついたようです。

 荒戸監督は私がやりたがっていることを意外に思われたようですが、お話させていただくうちに熱が伝わったのか、荒戸さんの熱と一致したのか、出させていただけることになりました。物凄く過酷な撮影でしたが、やりたい気持ちが勝っていたので楽しかったですね。

 私の演じた綾ちゃんは、運命に逆らえないところがあって、生まれた場所から頑張って逃げ出したいのに結局は逃げきれずに戻ってしまう。その切なさが自分に重なったのかもしれません。籠の中で育って、いつか飛び出したいと思いながら、飛び出せない。出ようともがいても、自分の生まれもった運命には逆らえない。その現実こそが人間であり、そこで生きていかなければならないのです。

『ヴァイブレータ』もそうなんですよね。一人で生きてきたけど、ある男と出会って、どこかに連れ出してくれるかもしれないと思うけど、やっぱり最後はまた一人で生きていく。

 お嬢様育ちと言われたらそれまでなのですが、周りが『恵まれている』と思う部分と、でも『いや、中身はこんなんですよ』という部分が私にはあります。そういう自分と重なる内面を出すことに怖さは感じません。蜷川幸雄さんが『それを貫け』と言ったのは、そこを見抜いていたからなんだと思います」

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン