「事故件数0だとしている自治体がありますが、1年間事故をほとんど起こさずに施設を運営できるというのは可能性として低い。青森市の場合は今回のアンケートに該当する有料老人ホームの施設が市内に存在しないためにゼロになるのは当然ですが、山形県や沖縄県のように20を超える施設があるにもかかわらず事故が0件というのは、不可解です」
果たして、事故報告は本当にゼロなのか、本誌は当該の自治体で営業する介護付き有料老人ホームに対して直接取材を行なった。まずは山形県の施設。
「0件というのはおかしいですね。細かい数字を申し上げることはできませんが、去年1年間で少なくとも事故が0ということはありえません。トイレで転んだり、ベッドから落ちて骨折などのケガはどうしても起こってしまいます。病院に行く怪我は事故として報告し、ちょっとしたことでも、その都度、県に報告しています」(施設スタッフ)
沖縄県内の施設も首を傾げる。
「入居者の方に事故やケガがあった場合は報告しています。実数は申し上げられませんが、少なくとも0ということはありません」(宜野湾市施設スタッフ)
やはり現場では事故が起こり、自治体への報告は確実に行なわれているようだ。これらの声を当該の自治体にぶつけた。山形県健康長寿推進課担当者は少し慌てた様子で「詳細は追って知らせるので」と一旦、受話器を置いた。