高須:トランプさんはもともと米韓合同演習はお金がかかると指摘していたわけで、むしろやめたがっていた部分も大きいんだよ。今回の米朝会談で北朝鮮との距離が縮まったことで、米韓合同演習を中止するいい理由ができた。ビジネスマンであるトランプ大統領にしてみれば、大幅にコストカットができるチャンスだったんだろうね。
でも、考えてみれば、トランプ大統領は北朝鮮のことをあんまり怖がっていないのかもな。もしも、本当に北朝鮮を恐れているのであれば、この段階で圧力を弱めるということはないと思う。なんとなく金正恩の交渉力が印象に残った会談だったけど、なんだかんだで主導権を握っていたのはトランプ大統領だったんだろうね。手のひらの上で転がされている感じがあるな。
──日本としては、やはり拉致問題解決を望むところですが、トランプ大統領は金正恩院長に対し、拉致問題解決に努めるよう伝えました。
高須:金正恩が本当に今回の会談を成果あるものにしたいのであれば、トランプ大統領の意向を無視することはできない。だからこそ、今後、拉致問題解決に向けて動き出す必要はあると思う。金正恩がそこをちゃんと理解しているのかはわからないけど…。
日朝首脳会談実現の可能性も高まっているみたいだしね。金正恩だって、一度国際舞台に出てきてしまったら、これまでみたいに嘘ばかりついてはいられないんだよ。やっと、ちゃんとした交渉ができる状態になったわけだから、安倍首相だって拉致問題解決に向けて具体的に動き出したいと思っているだろうね。
これはトランプ大統領と同じ考え方だけど、外交で結果を出すことで支持率は上がるし、国内の政局も安定するんだよ。そして、安定した政局が、国民のための政治運営をもたらしてくれる。そういう意味でも、ぜひとも日朝首脳会談を実現して、拉致問題を解決してほしい。安倍首相が外交で成果を出すことが、国民にとっての一番の利益なんだから。
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米朝首脳会談に対して、冷静に分析する高須院長。日本としては今ひとつの内容だったものの、拉致問題解決に向けて、多少は前進したと言えそう。あとは高須院長が期待するように安倍首相の動き次第だが、果たして…。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子氏との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)、『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)、『行ったり来たり 僕の札束』(小学館)、『ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて』(小学館)など。最新刊は『炎上上等』(扶桑社新書)、『かっちゃんねる Yes! 高須 降臨!』(悟空出版)。