「でもね、レギュラー枠での出演はないから、毎日がオーディション。失敗が許されない緊張の日々ですよ。この業界は恐ろしいくらいシビアで、ゲストの僕なんて、一度しくじったら次は呼ばれない。大げさでもなんでもなく、どんな番組でも同じですから」
厳しい境遇のなか、熱湯風呂に浸かり、ザリガニに鼻を挟まれた。芸人として評価が高まれば高まるほど、“汚れ役”イメージが定着していった。
「さすがに“抱かれたくない男”に選ばれたときは、情けなくて申し訳なくて、母ちゃんに謝った。すると『哲ちゃん、どんな分野でも日本一に選ばれるのはすごいことだから、胸を張れ』と言ってくれた。楽になりましたね」
嫌われキャラを脱却する転機は、2007年に始まったバラエティ『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)だった。見知らぬ海外に行き、片言英語で外国人と会話する、といった数々の企画に挑み、そのひたむきな姿が視聴者の共感を集めた。いつしか好感度が上がり、“ヤバいよ、ヤバいよ”は出川の代名詞となっていく。
いまやすっかり愛されキャラに変貌を遂げたが、昨年、芸歴32年目にして初のレギュラー冠番組が決まったときは、感慨もひとしおだった。
「超嬉しかったし、その気持ちは1年前も今も全然変わりません。やっぱり芸人にとって一番の夢は、ゴールデンで、自分の名前がタイトルに入った番組を持つこと。この夢が叶うのは芸人のなかでもほんのひと握りですから、これほど幸せなことはないです」
なんと7月14日の放送には、明石家さんまがゲストとして登場する。