もはや中国でもインドでも、キャッシュを前提とした銀行の支店やATMは必要なくなっているのだ。
一方、日本は未だにキャッシュ・ソサエティである。日本生命保険の調査によると、2015年の個人消費は現金の利用が49.5%を占めている。「現金主義」が根強いため、まだ個人消費の半分がキャッシュ決済なのである。
しかし、スマホ決済が当たり前の中国人をはじめとするインバウンドの波が世界から押し寄せ、訪日外国人客数が3000万人を超えて4000万人に向かおうとしている現在、日本も変化せざるを得ない。しかも、国内では「Suica」「PASMO」といった交通系ICカードの電子マネーでコンビニやファストフード店などの支払いができるようになり、急速にキャッシュレス・ソサエティへと移行している。
となると、日本の銀行も支店やATMや人が不要になるのは自明の理だ。本店にビッグデータやAIを駆使してモバイル金融サービスを運用する多数のシステム・エンジニアと法人営業部隊さえいれば、事足りてしまう。そのような状況になるのはおそらく5年以内、遅くとも10年以内だろう。
※週刊ポスト2018年7月20・27日号