片山:カジノで負けていたらどうなっていたんですか。
佐藤:玉砕するしかなかったかもしれませんね(苦笑)。出張すればするほど、持ち出しが増えて赤字になる。旧軍の兵士はこういう状況で、送り出されていたんだろうな、と思いました。
実際、戦争が激しくなり、そうした精神主義が行きすぎた結果、玉砕が行われるようになりました。
片山:「玉砕思想」を説いた陸軍の軍人思想家に工兵隊出身の中柴末純がいます。物質的に戦う前から勝利を約束された「持てる国」でも軍隊や国民の戦意がなければ、戦争を続けられない。つまり「持てる国」の戦意を挫けば「持たざる国」にも勝ち目が出てくる。そこで中柴は日本人が積極的に死んで見せればいいと主張した。
佐藤: 玉砕する日本人の姿を見た敵は恐れおののくだろうというわけですね。
片山:そうなんです。