日本上空に厚い暗雲が垂れ込める中、首相の眼中だけでなく、自民党幹部たちも、「総裁選」しか頭になかったことがよくわかる。
豪雨で死者・安否不明者が200人を超える甚大な被害が出て宴会批判が高まると、党内からは「目くじらたてて大騒ぎするほどのことではない」(二階俊博・幹事長)と擁護する声があがった。だが、宴会主催者の竹下氏が「正直、これだけすごい災害になるとは予想しなかった」と見通しの甘さを認め、宴会について、「どのような非難も受ける」と謝罪したのだから何をか言わんやである。
豪雨被害で安倍首相の総裁3選に向けたスケジュールにも狂いが出た。自民党総裁選は9月7日告示、同20日投開票で行なわれる見通しだ。党員投票も実施される。
首相は7月22日の通常国会閉会の記者会見で出馬表明を行なうと見られていたが、宴席問題で批判を浴びると、「総裁選より災害対応」をアピールするために出馬表明を8月下旬に延期する方針と報じられている。
※週刊ポスト2018年8月3日号