一般人だってそんなことはしょっちゅうやっている。「今からシリコンバレーのカンファレンスに参加」などと書き、空港のラウンジでくつろぐ様子を投稿するオッサンもいる。要は、ビジネスクラスの客であることと、自分が世界を股にかける有能ビジネスマンであることを、さりげなくアピールしているのだ。
その後彼はサンフランシスコの空港から「SF到着なう」と書いて投稿するだろうし、高級ホテルの室内の様子やら熟成肉のステーキやら、カンファレンスで喋る白人の写真を投稿して「ケニーのプレゼン、マジ神がかってる」なんて書くのだ。読んでいる人間は、「ケッ、自慢しやがって」と内心イラつくが、芸能人や公人ではないから炎上はさせない。
剛力の投稿にしても、これをスケールアップした程度のもので、他人がいちいち目くじらを立てるべきものでもない。もっといえば、メディアもそんなものは黙殺していい。江頭2:50が突然五輪の会場で奇天烈なコスプレをしていたり、W杯で観客席に飛んできたボールをヘディングしたのがお笑いコンビ・カカロニの菅谷直弘だったことなどはあまりにも珍事なのでこれは取り上げても良いだろう。
だからこそ、芸能人はこれから炎上したくないのであれば、SNSに投稿するのはひたすらしみったれた話だけにした方がいい。スーパーで50%引きの肉を買った、朝食が食パンにバターを塗っただけ、切れ痔になったことなどを投稿するのである。新幹線では、グリーン車ではなく普通車に乗った時こそ投稿のチャンスだ。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2018年8月10日号