官房副長官の杉田は、霞が関の幹部680人の人事を一手に握る内閣人事局長を兼務している。幹部人事の原案を諮る「任免協議」には、首相、官房長官、官房副長官、当該省庁の大臣が参加し、そこで閣議前に人事を決める。そこには事務方が関与するどころか、会議の日時すら伝えられない。
これでは財務官僚が首相や官房長官の意向に逆らえるはずもない。すべては内閣人事局の「任免協議」のサジ加減で決まる。
◆「PMからの指示」メモは誰が
今度の財務省人事では、岡本の事務次官昇格にあたり、文書改ざん問題で国会対応に冷や汗を流しながら奔走した理財局長の太田充(58)が、新たな主計局長に就く。これが次の次官含みなのは間違いない。迷走を極めた財務省人事は、モリカケ問題の国会対応での苦労に応える論功行賞の色合いが極めて強い。
そしてむろん、その逆の人事もある。元官房長官秘書官で菅に近いとされてきた官房長の矢野康治はいったん次官レースのトップに躍り出た。が、セクハラ事件の対応でミソをつけ、次官レースから外れたとされる。国交省のある官僚が言った。
「矢野さんが官房長になれたのは、官房審議官としてモリカケ国会で活躍したからだといわれています。国会対応では、首相を指す『PM(プライムミニスター)からの指示』と書かれたメモが森友学園の小学校用地を鑑定した国交省や大阪航空局をはじめとした関係者にまわってきました。『(財務省の)佐川を見習って強く否定しろ』という趣旨のそのメモは、首相秘書官から手渡されたという説と矢野さんたち財務省側からの指示だったという説があります。しかし、そのどちらか、いまだにはっきりしません」