◆“援交”の担い手が変わってきた
こうした性行動は2005年をピークに、低下していく。
『終わりなき日常を生きろ』の著書があり、女子中高生の性行動などを通じて日本社会を分析してきた首都大学東京教授の宮台真司さん(59才)は、大学生や高校生の性交経験率について、「男女とも2000年前後から低下の兆しがあった」と指摘する。
「多くの少女たちが援助交際に駆り立てられた1990年代の半ば以降、次第に若者の間に 『援交はカッコ悪い』『性にこだわるのはイタい』というイメージが広まり、性行動からの離脱が一気に進みました。その背景には援交の担い手がクラス内の“カーストが高い女子高生”から“精神的に病んだ女性たち”へと変わっていったことがあります」
時を同じくして、援助交際を問題視した各自治体で淫行処罰の条例が作成された。その結果、学校の性教育の内容が変わったことも若者の性行動離れをプッシュした。
「性教育において、妊娠や性感染症、性愛にのめりこんで将来を棒に振る不安ばかりが強調されるようになり、若者たちが性行動や性の話題を避けるようになりました。結果、2000年代後半から大学生の飲み会でも『みんながノレないから』と下ネタが避けられるようになり、男関係が派手な女性が『あの子ビッチだよね』と陰口を言われるようになった」(宮台さん)
※女性セブン2018年8月23・30日号