◆問題点2/フィルムが小さすぎる
検診用の胸部画像は、10センチ四方のロールフィルムに焼かれる。多くの人数を効率的に処理するために開発された方式だ。
画像をチェックする読影の際は巨大なルーペで拡大するが、オリジナルのフィルムが小さいので画質的な限界がある。一般的に、がんが約2センチ以上にならないと判別は難しいという。
最近ではデジタル方式もあるが、間接フィルムがまだ大半を占めている。
◆問題点3/読影のミス
検診画像の読影現場を取材したことがある。一人のX線画像にかける時間は約20秒。それを1日約500~800人分も読影するという。
この中から、「肺がん疑い」の画像が出てくる確率は、平均して0.5%。集中力が途切れて、見逃すケースが少なくない。ダブルチェックが推奨されているが、外部からは確認できず実効性は疑わしい。
会社員の高田浩二郎さんは、職場のX線検診で左肺に「がん」が見つかった。その前年の画像を確認してみると、そこにも「がん」は写っていた。つまり、見逃されていたのである。高田さんの場合、胸膜に転移が見つかり、手術ができず、完治の可能性が断たれてしまった。
「1年前の段階であれば、手術ができた可能性があるので、悔いが残ります。私のようなケースを2度と出してはいけないと思う」