◆皇族は誰1人として出席していない
小室さんが出席するとされた明治150年記念式典は、安倍首相の肝いりの企画だとされる。
《150年前、明治日本の新たな国創りは、植民地支配の波がアジアに押し寄せる、その大きな危機感と共に、スタートしました》
《150年前の先人たちと同じように、未来は変えられると信じ、行動を起こすことができるかどうかにかかっています》
安倍首相は今年の年頭所感でもそう熱弁を振るうほど、「明治日本」の信奉者だ。改元から150年に当たる今年はこの式典を含め、国が主体となって147の、都道府県など自治体が主体となって1018の関連事業を行うなど、まさに「明治維新アニバーサリーイヤー」。
「しかし、明治時代の富国強兵や軍事力による膨張論は、やがてアジア侵略を進める帝国主義、そして先の大戦へと繋がっていきます。経済的な発展や自由民権運動などの素晴らしい面はあっても、諸手を挙げての明治礼賛はしがたいもの。そうした感覚は、今の天皇陛下がいちばんお持ちであり、今の皇族の方々には行き届いているのではないでしょうか」(皇室ジャーナリスト)
明治維新は、江戸幕府からの大政奉還により、朝廷に権力が返上されたタイミングでもあり、皇室とも無関係とは言えない。今から50年前の「明治100年記念式典」には、政府からの要請を受け、昭和天皇が香淳皇后とともに出席された。しかし、今回の式典には、両陛下はもちろんのこと、皇族は誰1人として出席されていない。
「実は今年1月29日、両陛下は明治150年について大阪大学の名誉教授からご進講を受けられているので、今年がどのような節目の年であるかは、よくご存じのはず。逆に言えば、よくご存じだからこそ、出席されなかったとも言えます」(前出・皇室ジャーナリスト)
天皇陛下は、戦後に誕生した日本国憲法の第一条に定められているとおり、これまで、「象徴」として歩みをすすめられてきた。10月20日、84才の誕生日に際して美智子さまが発表されたお言葉にも、天皇陛下について、
《義務を一つ一つ果たしつつ、次第に国と国民への信頼と敬愛を深めていかれる御様子をお近くで感じとると共に、新憲法で定められた「象徴」(皇太子時代は将来の「象徴」)のお立場をいかに生きるかを模索し続ける御姿を見上げつつ過ごした日々を、今深い感慨と共に思い起こしています》
と綴った一節がある。
「新しい憲法のもとで新しい役割を果たしてこられた両陛下にとって、大日本帝国憲法の時代に“逆戻り”をするような姿勢は受け入れがたいものでしょう。式典に皇族が出席されていない理由は、そのあたりにあるはずです」(前出・皇室ジャーナリスト)