◆私は弱い人間だから……
イベントで「子供の自殺は9月1日が最も多い」と初めて知った樹木さんが大変驚いていたという。
「“これは大変なことですね”とおっしゃって。当初は不登校について語ってもらう予定でしたが、樹木さんはその場で、自殺に対する思いをあの言葉で表されたんです。それを聞いて、これはより多くの子供たちに聞いてほしいと、『不登校新聞』のホームページに内容を掲載しました」(石井さん)
樹木さんの「自殺メッセージ」への反響は大きかった。ネット上では「記事を読んで何度も何度も救われました」「自殺を考えていたけど、寿命を全うして生きていかなきゃいけないと感じた」と、樹木さんの発言に影響されたというコメントが相次いだ。
その後も、樹木さんは子供の自殺に思いを寄せ続けた。今年7月末、朝日新聞は「生きづらさを抱える人たちにメッセージを」と樹木さんに依頼。それに応え、直筆のFAXを送っている。
《私は弱い人間だから 自分で命を絶つことだけはやめようと生きてきた こんな姿になったっておもしろいじゃない》
「2013年に全身がんが発覚して、樹木さんは“じたばたしなくてもそのうち死ぬわ”と諦念を持って生きるようになりました。無理に生きようとするのも無理に死ぬことも意味がない。そう考える樹木さんには、子供の自殺は耐えられない悲劇だった。“ほっときゃ死ぬのに急がなくても…”って。そんな思いで綴っていた」(前出・芸能関係者)
9月15日、樹木さんは自宅で息を引き取った。葬儀で娘・也哉子(42才)が明かした樹木さんから言われた言葉も心を動かされるものだった。
《おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きればいい》
昨年の自殺者数は2万1321人。1日に60人近い人が、自ら命を落としている。
全身がんを患いながら、人々に問いかけ続けた3年間。今一度、樹木さんの言葉に耳を傾け、考えたい。
※女性セブン2018年11月8日号