頭と膝の痛みの先にある危ない病気

●「胃腸科」を受診すべき「肩の痛み」

 加齢とともに身近になる肩こりと腰痛は、痛みの種類によって「受診すべき診療科」も異なる場合がある。前出・菊池医師がいう。

「電気が走るような“ビリッ”とした痛みが、食後20~30分の間に肩から背中にかけて起こったら、逆流性食道炎の可能性があります。消化器内科や胃腸科を受診して、胃カメラによる検査を行なう必要があります」

 首筋から肩甲骨にかけての痛みは、命にかかわる病の兆候を示している可能性があり、要注意だという。

「感覚神経が混線することにより、心臓の病気の症状が肩や背中の左側に生じることがあります。“ギュッギュッ”と締め付けられるような痛みが周期的に訪れる場合は狭心症、30分以上続けて起こる場合は心筋梗塞の疑いがあります」(菊池医師)

●「膵臓がん」の疑いがある腰痛

 椎間板ヘルニアなどによる座骨神経痛といった腰痛は、「骨盤から下肢付近が“ピリピリ”や“ジンジン”痛むという表現をする患者が多い」(かわたペインクリニック院長・河田圭司医師)という。

 加齢に伴って多くの人が相対する腰痛は即座に大事には至らないケースが多いが、冒頭のA氏のように、腰痛が重篤な病気のサインとなっているケースもある。

「左脇腹から背中にかけて、“ビリビリ”と痺れるような痛みがあると、膵炎や膵臓がんの可能性があります。膵臓は“沈黙の臓器”と言われるほど症状が出にくい臓器ですが、体の深い部分に位置するため、背中や脇腹に痛みが生じることがある」(菊池医師)

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