芸能

秋ドラマの珍現象 “アンダー7”4作に熱烈なファンが続出

『中学聖日記』にも熱狂的なファンが(公式HPより)

 視聴スタイルが多様化するなかで、視聴率はドラマの評価を決める指標ではもはやないのかもしれない。それを示す珍現象が今期のドラマで起きている。いったいどういうことか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 秋ドラマが中盤戦に入る中、視聴率での明暗がはっきり分かれています。まず、『相棒』(テレビ朝日系)、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)、『下町ロケット』(TBS系)が15%前後の高視聴率をキープして“トップ3”を形成。

 一方、『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系)、『中学聖日記』(TBS系)、『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)、『黄昏流星群』(フジテレビ系)の4作は、いずれも7%以下の低視聴率に沈んでいます。

 その他の『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)、『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)、『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)、『駐在刑事』(テレビ東京系)、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)は、9~12%前後と平均的な数字だけに、5~6%の“アンダー7”4作が差のついた下位グループであるのは明らか。

 通常これほど低視聴率のドラマは、「酷評されたあと、SNSの書き込みや関連記事が減って、話題にあがらないままひっそり終了」というパターンなのですが、今期の視聴率“アンダー7”4作は様相が大きく異なり、それは珍現象とも言えるものなのです。

◆刑事・医療・弁護士、シリーズ作に頼らない

 現在“アンダー7”4作に寄せられる声の大半は、酷評ではなく称賛。序盤で飛び交っていた厳しい声はすっかり収まり、楽しさを共有し合うような声が中心となっています。

『ハラスメントゲーム』は「週替わりでさまざまなハラスメントを扱った上で、清濁併せ吞む主人公が痛快に解決していく」という脚本の質。『中学聖日記』は「教師と生徒の恋」という強い背徳感と映像の美しさ。『僕らは奇跡でできている』は童話のようなファンタジックな世界観による癒し。『黄昏流星群』は3組のドロドロ不倫を大マジメに描く面白さ。

 それぞれ異なる形で興味を集め、『ハラスメントゲーム』は「スカッとする」、『中学聖日記』は「ドキドキする」、『僕らは奇跡でできている』は「ほっこりする」、『黄昏流星群』は「ツッコミたくなる」などの心境から、SNSでのコメントが活性化しているのです。

“アンダー7”4作の共通点は、「スタート前から厳しい声を受けやすい設定」と「思い切った挑戦作だったこと」の2つ。

 放送前から『ハラスメントゲーム』には「ハラスメントをゲームにするな」、『中学聖日記』には「義務教育でありえないし、タイトルが成人向け映画みたい」、『僕らは奇跡でできている』には「何が奇跡なのかわかりにくい」、『黄昏流星群』には「中年の不倫を見て何が楽しいのか」などの厳しい声があり、「1話から見てもらえない」という悲劇を招いてしまいました。

 ただ、4作ともに、そんな厳しい声が飛ぶことを承知で挑んだ意欲作であり、「安易に刑事・医師・弁護士ドラマやシリーズ作に頼らないぞ」という気概の表れとも言えるでしょう。それらのような「リアルタイムで見てもらいやすい=視聴率を獲得しやすい」タイプの作品ばかりではなく、「まったく別のジャンルで視聴者を楽しませよう」というポジティブな姿勢を感じます。

◆“トップ3”は『水戸黄門』タイプばかり

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン