「大前提として、背番号を大事にする球団のほうがファンの受けも良いと思いますし、OBも自分を大切に考えてくれていると良い気分になれる。広島やヤクルトのやり方だと、伝統が受け継がれていく光景が目に見えてわかると思います。いきなり新人に与えるのではなく、成長してファンもチームメイトも認める存在になった時に渡すと、選手にとってもやる気や責任感が芽生えるでしょうし、その番号に誇りを感じられるでしょう」
1934年に創設された日本プロ野球最古の球団である読売ジャイアンツは今オフ、広島からFA宣言をした丸佳浩に、原辰徳監督の現役時代の背番号8を用意しているという。
「チームにとって伝統のある背番号を、FA交渉の材料にするのは今に始まったことではありません。2011年オフ、ソフトバンクからFAした杉内俊哉(2012~2018年所属)にエースナンバーである背番号18を提示し、2013年オフに西武からFAした片岡治大(2014~2017年所属)にも高田繁、原辰徳、仁志敏久と生え抜きの主力に受け継がれてきた背番号8を与えた。
それ自体が悪いことではないし、FA選手がチームにもたらす活力は大きい。杉内は移籍初年度にノーヒットノーランを成し遂げ、片岡はそれまで巨人に欠けていた機動力を存分に発揮し、2人とも優勝に貢献する素晴らしい活躍をしました」
一方で、『18』は戦前から戦後まで計16年間背負い、2度もノーヒットノーランを達成した中尾碩志、悲運のエースと呼ばれた藤田元司、V9の立役者である堀内恒夫、巨人の伝統を感じながら誰よりも『18』を大切にして20年間背負った桑田真澄という歴代の名選手が付けていた。しかし、杉内は7年間『18』を背負ったものの、ケガに泣かされ、実働4年に終わった。『8』の片岡も実働4年で現役を引退している。