「僕自身もその存在を通して『この作品を観てよかった』とお客さんが感じてくれるなら、どんな役だって構わない。麻雀でも最後に勝つ上がりなら、役満じゃなくても、千点のピンフで満足です。大切なのは必ず意味があること。あの人がいたから作品の厚みが増した、あの千点があったからトップが取れた、というような役。大きい役はやりがいも大きいけれど、ちっちゃい役には、旬平の包丁のように戦う男の美学が宿っている気がするんです」
そう語った時、萩原の中で“役”を通じて2つの顔が重なり合った。
【プロフィール】はぎわら・まさと/1971年生まれ、神奈川県出身。1987年に俳優デビュー。ドラマ、映画、舞台、ナレーションなど幅広く活躍し、数々の映画賞を受賞。現在、ドラマ『あなたには渡さない』(テレビ朝日系・土曜夜11時15分~)に出演中。12月28日に映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の公開を控える。今年、日本プロ麻雀連盟に加盟してプロ雀士の資格を取得し、プロ麻雀リーグ戦Mリーグ「TEAM RAIDEN/雷電」に所属。
撮影■田中智久 取材・文■渡部美也
※週刊ポスト2018年12月14日号