様々な部局からなる宮内庁
今回、“政府の判断”と“皇族の思い”の間に挟まれたのが宮内庁だった。宗教学者の山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授は、今回の秋篠宮発言を受け、朝日新聞(12月4日付)のインタビューで、
〈象徴天皇制の特徴は、「権威」としての天皇と、政治の実権を持つ「権力」とが併存する二元構造にあるでしょう。天皇は権力を持たず、権力側は皇室の権威に触れることをタブー視する、相互補完・相互牽制的な関係です〉
と解説している。そうなると、宮内庁は権威を守るいわば「侍従集団」としての役割と、権力を支える「官僚組織」という矛盾を抱えることになる。
その宮内庁はいま、年末の予算編成で大嘗祭の費用を官邸の方針通り皇室の公的活動に使われる「宮廷費」に計上するか、それとも秋篠宮の意見に沿って政府方針を変更させ、「内廷費」に盛り込むかの結論を出さなければならない。秋篠宮の発言は、宮内庁に「官邸側に立つ」か、それとも「皇室に寄り添うか」の選択を迫ったとみることもできる。
いったい、宮内庁とはどんな組織なのだろうか。
皇位継承の式典は年が明けるとほどなく始まる。来年2月24日の「天皇陛下御在位30年記念式典」に始まり、「退位の礼」(4月30日)、「即位の礼」(5月1日)、「大嘗祭」(11月14日)に続いて、再来年に予定されている秋篠宮の「立皇嗣の礼」まで2年に及ぶ。
そうした皇室行事の運営を取り仕切るのが、1027人の宮内庁職員たちだ。組織図を見ると、見慣れない官職が目立つ。