「確かに彼は、そんなに頑張らなくていいよとか、オレは前の洋服のほうが好きだとか言っていたんです。でも、それは、私への気遣いだと受け取っていました」
オシャレに気を使うようになった麻衣子さんは、内面的にも自信を持つようになったという。陽二さんに誘われた飲み会で、最初の頃は借りてきた猫のように大人しくしていたが、次第に自信を持って発言するようになった。そういう態度を、陽二さんは「キツくなった」と感じていたのだろうということが、今になってわかる。
「ふと思い出したんです。10年くらい前にヒットした『プラダを着た悪魔』という映画がありますよね。アン・ハサウェイが、雑誌の編集長に鍛えられて、どんどんオシャレに、洗練されていく物語なのですが、あるお笑い芸人が、最初のやぼったい頃のほうが良かったって言っていたんです。それを思い出しました。彼もそんな気持ちだったのかなと」
今、麻衣子さんは、結婚前に価値観の違いに気づけてよかったと、前向きに受けとめている。陽二さんとは別れたが、服装にも気をつかい、化粧も学び、外見も自信のある自分でいたいとも思っている。
「結局、男の人って外見しか見てないのかなとも思うし、でもやっぱり、女の外見は内面ともつながっているようにも思うし……、難しいですね。いずれにしろ、今の私を好きになってくれる人を見つけるために、また婚活を頑張ります」