かくして翌日の各紙には、「十三代目市川團十郎白猿」という11文字が並んだ。海老蔵は襲名について、「五代目團十郎が『自分は祖父や父に比べて芸が足りない』という意味で(團十郎を譲った後に)白猿を名乗った。自分もまだまだ襲名しても祖父や父には及ばないという気持ちでつけた」と説明したが、その真意を歌舞伎関係者はこう推し量る。
「古くからの後援者の中では、海老蔵さんの襲名はまだ早すぎるという声も多い。ただ、松竹はじめ関係者には、2020年夏の東京五輪の関連行事で、新しい團十郎をお披露目したい意向があった。海老蔵さんは、早すぎる襲名だと自覚していることを示す意味で、その名をつけたのではないか」
“白猿て何?”と聞く人に、知らざあ言って聞かせやしょう。
※週刊ポスト2019年2月1日号