ビジネス

有名アニメ作品の「聖地巡礼」と鉄道、その現状と課題

ガールズ&パンツァーの聖地・大洗の大洗駅

「聖地巡礼」という言葉はもともと、聖人にゆかりがあったり、奇蹟が起きた土地を訪れることを指すが、最近はアニメーションの作中に登場する場所をファンが訪れることも表す。風光明媚な場所が作中モデルになることも多く、意外な場所に多くの観光客が訪れるきっかけともなっている。ライターの小川裕夫氏が、アニメ作品の聖地巡礼と、鉄道との関係についてレポートする。

 * * *
 信仰心が薄いと言われる日本人だが、初詣や学業祈願などで神社仏閣に参拝したことがないという人は少数派だろう。日本では神社仏閣のほか山や川、海などは聖地と化し、人々の信仰を集めてきた。一例を挙げれば富士山がそれにあたり、そうした聖地を訪ねる旅は聖地巡礼と称されてきた。

 聖地巡礼において、鉄道が果たした役割は大きい。関東なら成田山新勝寺や川崎大師、関西なら高野山や生駒山宝山寺といった聖地の多くは、鉄道が発達したことにより明治期から大正期にかけてメジャー化した。

 神社仏閣を巡る鉄道は、いまだ人気がある。その一方、現在は聖地巡礼の新たな形が生まれている。それが、アニメやマンガの舞台になった地を訪れるというものだ。

 アニメやマンガの舞台を巡る”聖地巡礼”は、近年、コンテンツツーリズムと呼ばれるようになった。2012年から放送を開始した「ガールズ&パンツァー」(ガルパン)は、コンテンツツーリズムの先駆けでもある。

 茨城県大洗町に本拠地を置くとされる大洗女子高校と、戦車道という競技で競い合う女子高校生たちの奮闘ぶりを描いた同作では、あちこちのシーンで大洗の街並みが描かれている。同作のファンは、実際に現地に足を運びアニメの世界に没入する。

「鹿島臨海鉄道では、アニメ放映と同時にガルパンのラッピング車両を導入しました。現在までに、ガルパンのラッピング車両は4両製造しています。そのうち初代の1号車は塩害で車体が傷んだことで廃車になりましたが、2017年にリニューアルでラッピングを貼り替えて、新たに4号車として生まれ変わりました」と話すのは鹿島臨海鉄道の担当者だ。

 鹿島臨海鉄道は、茨城県の水戸駅と鹿島サッカースタジアム駅との約53.0キロメートルを結ぶ路線。大洗町の玄関でもある大洗駅は、茨城県の水戸駅から3駅目に位置する。水戸駅からの乗車時間は、約15分と短い。

 そのため、大洗駅から水戸へ通勤・通学している人も少なくない。なにより、大洗は東京から近い人気の海水浴場としても知られているので、夏場になると首都圏から多くの海水浴客が集まる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン