逆にいえば、この14年で、松木氏は不用意に「いいボールだ!」と叫ぶ傾向が少なくなった。長年の解説経験を経て、松木氏は自分が「いいボールだ!」と叫んだ時、あまりいいボールでないことに気付いたのではないか。近年、「いいボールだ!」の精度が格段に上がっているのである。同時に、日本選手の技術が向上したことも読み取れる。
決勝のカタール戦。松木氏が「いいボールだ!」と絶叫した時、日本に2大会ぶりの栄冠が近付く。
●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。研究分野は田原俊彦、松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。著書に、本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料の緻密な読解を通して、田原俊彦という生き方を描いた『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)。