「例によって福田氏が資料作りを担い、竹中さんが発表したのですが、中身は国交省や北海道庁で検討してきたものの焼き直し。つまるところ竹中・福田がイニシアティブを握るためのデモンストレーションで、そのせいで計画がずれ込み、今年ようやくコンセッション事業者を募集しているあり様です」(前出・政府関係者)

 慎重に検討するのは悪くはないが、つまるところ竹中・福田ラインの“自己承認欲求”の現われに過ぎない、と関係者は評する。

 民間企業の運営で利益をあげて累積赤字を解消しながら、有事や災害があれば、国や地方自治体が対応し、施設の補修も引き受ける──。ごく簡単にいえば、コンセッションはそういう公共事業の民営化である。企業にとっては、すこぶる旨味のある話の半面、国民にとっては、企業にいいとこどりをされているだけのようにも感じる。

 PFI、コンセッションの仕掛け人は政府を去ったが、この先、有識者として委員会に参加する模様だ。このまま竹中・福田ラインの思惑通りの「偽装民営化」が進むのか。

 先頃、東京都は水道コンセッションではなく、公営のままコストダウンする道を選んだ。なぜ公共事業を民営化するのか。安倍一強の威光を笠に着る者の手柄のためにあるわけではない。それだけはたしかだ。(了)

【PROFILE】もり・いさお/1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)で「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション」大賞を受賞。近著に『地面師』(講談社)。

※週刊ポスト2019年2月8日号

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