《死んでしまいたいくらいのつらさ、不安があるんだね。(中略)長生きしないとね》
《やりたくない事は今はやらせなくて良い。好きで興味があってやりたい事をやらせる。目で見えるとイメージしやすい。言葉だけだとイメージしにくい》
《好きな分野に進むような進路を考えてあげる》

 昨年8月24日、母親は「しにたい」とのメモを携えて娘とともに校長と面談した。校長はこの時のことを、1月31日の保護者会の後に開かれた面談で次のように語った。

「メモだけ見ると、ショックな書き方に見えるのですが、お母さまの方から、こう書いた理由は『夏休みの宿題をやっていないから、それが嫌だったのかもしれない』という説明があり、『だったらやらなくていいよ』と話をしたことを覚えています。その後も少し話をして、最後は『夏休みが終わったら、また校長室に来るね』と手を振って帰りました。元気に出て行って、夏休み明けからは、校長室にも来ていたので、異変を感じ取ることができなかった」

 しかし、精神科医の片田珠美さんは「宿題をやらなかったこと自体が、追い詰められているSOSだったかもしれない」と分析する。

「子供が自殺する前兆として、『宿題が手につかない』『体調不良を訴える』『学校に行きたがらない』といった兆候があげられます。これらは、一見ささいなサインのように思えますが、実は重要なSOSである場合もあるのです」(片田さん)

◆母が残した悲痛なメモ

 この頃、学校への不信感を強めた母親は、祈るようなメモを遺している。

《子どもたちへの聞き取り、いつやっていただくのか? 今までの対応 加害者にばかり配りょしている 本当にされるべき事がされていない それをするという事》
《Aが心に傷を受けているという事を相手に知ってもらいたい》

 さらにあるメモの欄外には、こう付け加えられていた。

《Aを守りたい。》

 しかし、2学期が始まると、母親はストレスや疲労から体調を崩し、心療内科に通い、抗うつ薬を服用するようになる。Aちゃん一家の知人が振り返る。

「Aちゃんのお母さんは毎年、早い時期から自宅にクリスマスのイルミネーションを飾るのが恒例だったんです。だけど、昨年末はいつになっても自宅の壁は真っ白のままでした。たまに連絡を取り合っていた保護者からも、『どこか元気がないみたい』といった声があがっていたというふうにも聞きました」

 残念なことに、娘のためにもがけばもがくほど、母親は孤独を深めていった。田中さんが言う。

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