これらの記事以外でも、デイリーはロサリオへの「不安」を打ち消していた。裏返せば、絶好調のキャンプ中も、どこかに〈不安要素〉や〈変化球への対応に不安〉を感じていたからこそ、敢えて「不安」の2文字を入れたのかもしれない。
考えてみれば、3月22日の“もろい印象ない”という見出しも、“もろい印象ある”ため、たった1か月ではあるが一緒にプレーした大隣に話を聞いて、“もろい印象ない”と書いたのではないか。
巨人との開幕3連戦では活躍したものの、ロサリオは3、4月を打率2割7分5厘、2本塁打と50発ペースから程遠い成績で終える。5月に入ると、不振が深刻化し、26日の巨人戦で金本監督がついに決断を下した。
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記事内:辛勝で4連勝を飾ったが、不安を残す一戦にもなった。七回、巨人・上原が3番手でマウンドに上がったところで、4番・ロサリオに打順が巡ったが、金本監督は代打・鳥谷を告げた。この日は全て走者を置いた場面で3打数無安打。途中交代はあるが、代打を送られるのは初めてだ。
ここで、初めて「不安」をそのまま綴った。だが、デイリーはロサリオに直接不満をぶつけるわけでなく、気を遣った書き方をしている。ロサリオに代打を送ったらプライドを傷つけるのではないか……という意味に受け取れなくもない。
ロサリオは翌日以降もスタメン起用されたものの、6月2日に初めて先発を外れ、翌3日に出場選手登録を抹消される。わずか4か月前、希望の星だった助っ人がまさかの2軍行きを命じられた。それでも、デイリーは決してロサリオを見放さなかった。「不安」という言葉の使い方に着目してほしい。
見出し:新庄の成功は「ケンのおかげ」(6月7日)
記事内:新庄は年俸2200万で海を渡ったけれど、ロサリオは違う。重圧、不安、苛立ち…言い知れぬ感情があるだろう。そんなとき彼に寄り添う伴走者、味方は不可欠である。
見出し:ロサリオよ、外スラは「振らない方が怖い」 矢野2軍監督“捕手目線”で復調ヒント(6月7日)
記事内:周囲の不安とは裏腹に、ロサリオは終始明るい表情で汗を流した。