両陛下以外の皇族も、さまざまなご公務をなさっています。でも、皇族が減ってしまうと、これまで続けてこられたご公務を取りやめるということにもなってしまいます。そこで、女性宮家を創設して、皇族の減少にブレーキをかけ、安定的に皇室のご公務を続けることができるようにしようというのが、野田内閣の考えていたことでした。
しかし、これも法案にはまとまりませんでした。大きな論点として、女性宮家を創設するとしても、その範囲を内親王までにするか、女王までを含むかという議論がありました。また、そのいずれであっても、将来的に宮家は増えていくことになります。その場合の財政的な問題も考えなければなりません。
こうした問題に結論が出ないまま、そのあとを引き継いだ安倍内閣は、女性宮家の創設には反対の立場をとっているので、議論が深まることもなかったのです。
こうした「女性天皇、女系天皇の容認」やその延長上に想定される「女性宮家の創設」以外では、「男系男子」であることを優先させて、旧宮家の皇籍復帰を唱える論者もいます。
しかし、旧宮家は戦後皇籍から離脱していますから、あらためて皇籍に復帰することは、現実的には難しいのではないでしょうか。世論調査でも、旧宮家の皇籍復帰に対しては、7割前後が反対しています。女性天皇とは違って、国民感情としても、認めがたいのが現実です。
日本国憲法の第一条には、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」とあり、第二条には「皇位は、世襲のもの」とあります。