この2点に着目すれば、私たち国民の総意に基づくのであれば、皇室典範を改正して、女性天皇や女系天皇を認めることは、憲法上、何ら問題はありません。

「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の表明は、退位のご意向を表明するだけのものではありません。「おことば」は次のように結ばれています。

〈始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。 国民の理解を得られることを、切に願っています〉

 このように、天皇陛下は「象徴天皇の務め」が安定的に続いていくことを強く願っておられます。私たちもまた、そのお気持ちを受け止め、これからの天皇のあり方、皇室のあり方をしっかり考えなければならないのです。

●いけがみ・あきら/1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授。慶應義塾大学卒業後、1973年NHK入局。報道記者として勤務。1994年より11年間、『週刊こどもニュース』でお父さん役を務め、わかりやすい解説が話題に。2005年にNHKを退職し、フリーのジャーナリストとして活躍中。著書多数。

※SAPIO2019年4月号

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