レビー小体型認知症の98才母を介護中の松島トモ子さん


◆娘の舞台を鑑賞すると昔の厳しい母が戻って来る

 在宅介護4年目に入った今、暴言や幻視、徘徊などが徐々に落ち着いてきたという。いちばんつらかったことを質問すると、じっと考えて、

「今、真っ最中ですからね。つらいなどと思う間もない。症状は完全になくなるわけではなく波があります。爆弾を抱えているような感じです。

 施設入所を考えることもありますが、お風呂に入れてあげていると“ああ、今がいちばん幸せ”なんて言ってくれるのです。でもすぐにまた“トモ子ちゃんはいつ帰ってくるのかしら”と病気の母に戻ったりもする(笑い)。

 昔から欠かさず見ている私の舞台には今も必ず来ますが、終演後に感想を聞くと『まあ無難でしたね』。そこは厳しかった昔の母が出て来る。今、母の中には“病気のママ”と“お嬢様のママ”が同居しているんです」

 今も毎日が闘いだという松島さんだが、母を語る表情はやさしく誇らしげだ。

「昔、母は乳飲み子の私を背負い、命がけで中国から連れ帰って育ててくれました。今は私が介護で大変な思いをしているから、おあいこかな」

※女性セブン2019年3月7日号

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