伊藤若冲の絵を前にした2人

山下:この大作を83歳で描いているんですからね。頭頂部がバーコードのようになっているのは頭髪の流れを描いているのではなく、実は下書き。白隠は平気で下書きの線からずれちゃうし、そのまま残しちゃう。

壇蜜:なんて斬新(笑い)。歌川国芳の『みかけハこハゐがとんだいゝ人だ』もまたアバンギャルドですね。近くで見ると人が集まって人を象っていて、アルチンボルドの寄せ絵のよう。かたや芦雪の『方寸五百羅漢図(ほうすんごひゃくらかんず)』は、グッと近寄っても見えないくらい小さいんですね。

山下:わずか3センチ四方の極小な空間に、白象に乗ったお釈迦様や羅漢が描かれているんです。

壇蜜:ものすごい数の羅漢がいますね。切手サイズにこれだけの数を描けるのは米粒に絵を描くような、驚異の器用さです。

山下:極めて細い筆で描いたのでしょう。値段をつけるとしたら、面積あたりの坪単価はバスキアよりも高値がつくかもしれない(笑い)。

壇蜜:岩佐又兵衛の『山中常盤物語絵巻(やまなかときわものがたりえまき)』では、のっぴきならないことが起きています。

山下:牛若丸の母・常盤御前が盗賊に襲われて命を奪われるショッキングな様子とその後が描かれた絵巻で、前期に第四巻、後期に第五巻が展示されます。

壇蜜:血まみれで地面で息絶えた侍従の黒髪がうねりながら腕に絡まっている様子に、又兵衛の強い怨念が感じられます。

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