芸能

ピエール瀧 逮捕前の葛藤と高まっていた「楽観主義バイアス」

送検されるピエール瀧容疑者(写真/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、麻薬取締法違反などの容疑で逮捕された、音楽家で俳優のピエール瀧容疑者を分析。

 * * *
「ピエール瀧容疑者逮捕」という一報を見た瞬間、あれだけ活躍しているのになぜ?と驚いてしまった。「ストレス解消のため」。麻薬取締法違反の疑いで、厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取締部、通称“マトリ”に逮捕されたピエール瀧(本名・瀧正則)容疑者は、コカインを使用した理由をそう供述しているという。
 
 瀧容疑者は、音楽ユニット「電気グルーヴ」ではミュージシャンとして人気を博し、醸し出す独特の存在感と個性的な演技から、映画やドラマ、CMへと活躍の場を広げていた。数々の映画賞を受賞するなど俳優としての評価も高く、順風満帆、脂が乗っている時期だった。様々な情報番組から聞こえてくるコメントも、優しく楽しい人、そんな素振りはなかったというものばかりだ。

 多忙なスケジュールの中、プレッシャーやストレスから逃れ、テンションを上げるために、つい手を出してしまったのだろうか。多分使用したのも、ここ数年のことなのだろう。そんな風に思っていたら、「20代のころから大麻やコカインを使っていた」と供述しているというのだから、さらに驚いた。

 長年、使用していたということは、他人が薬物で逮捕されるニュースを見ても、自分が見つかる確率は低い、逮捕されることはない、そう思っていたと考えられる。人は、他人と比べて、自分がネガティブな出来事に遭う確率やマイナスの可能性を低く見積もる傾向がある。そして同時に、ポジティブな出来事やプラスの可能性は高く見積もるという傾向もある。これを「楽観主義バイアス」という。

 楽観主義バイアスのメリットは、前向きに、ポジティブに考えたり期待したりすることで、物事を成功へと導くことができる点だ。だが、楽観視することで、現実を直視できなくなるというデメリットもある。今回の逮捕は、まさに楽観主義バイアスのそうした悪い面が出たといえるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン