ビジネス

日本のLDK向け床拭きロボット掃除機、検証重ねた開発秘話

床拭きロボット掃除機『Rollan(ローラン)』(パナソニック)

『ローラン』(実勢価格5万円前後、約幅240×奥行き243×高さ80mm、2.5kg・パナソニック)は、日本の集合住宅のLDK(リビング・ダイニング・キッチン)向けに作られたコンパクトサイズの床拭きロボット掃除機だ。

 現在の日本の住宅事情を全国的に見ると、一戸建てが58%なのに対し、集合住宅は42%と少ない。しかし、集合住宅の7割は都市圏に集中している(平成25年総務省統計局 住宅・土地統計調査より)。

 こうした都市圏の集合住宅では、LDKが設定されていることが多いが、そのLDKはフローリングになっている場合が圧倒的に多い。

 また、パナソニックが床拭き掃除についてのアンケートをしたところ、床拭き掃除をする人の割合は半数以上に達し、その中でも週1回以上する人の割合は60%を超える結果となった。

 しかし、「床をきれいにしたい」という気持ちの一方、「面倒くさい」という意見も多かった。手軽に床拭き掃除をしたいという人に寄り添うために開発されたのが、この『ローラン』である。

 本体は、回転するローラー部分に専用モップをつけて使用する。人が拭き掃除をする際は、腕を動かしながら雑巾が汚れたら裏返したり洗ったりしてきれいな面を使うのが普通だが、ロボットで拭き掃除をしようとすると、同じ面ばかりで床を拭くことになる。

 そこで、『ローラン』はこのモップ部分を一定の時間ごとに回転させることで、モップのきれいな面で拭き掃除ができるようにしたのだ。しかし、ここからが茨の道だった。

 まず、ローラーを回転させるにはモーターを取り付ける必要があるが、コンパクトという当初のコンセプトから逸脱しないサイズ感が求められる。

 また、ローラーをどれくらいの間隔で何度回転させるかという検証も行われた。最終的に、約5分半おきに約30度ずつ回転させると掃除終了まできれいに床拭きができるということがわかるまで、条件を変更して何度も検証を繰り返すことになった。

 さらに、本体には水を噴射して拭き掃除をする「ウェットモード」と、水を出さずにから拭きをする「ドライモード」がある。

 ウェットモードで水を噴射するタイミングも、どういう間隔が最もきれいに拭き掃除できるのか、繰り返し検証を行った。このように、条件が増えれば増えるほど、「ローラーを回転させて拭き掃除をする」と決めてからも、検証に多くの時間を費やすことになったのだ。数々の検証の結果、高性能さとコンパクトさを見事に実現し、今年1月の発売に至った。

『ローラン』がロボット掃除機の仲間入りを果たしたことで、忙しい毎日に少しでも家事負担が減り、快適に過ごせる人が増えることだろう。

※女性セブン2019年3月28日・4月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン